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自然はなぜ六角形を選ぶのか? ハチ・岩・雪に共通する“最適な形”の正体

ジャイアンツ・コーズウェーの六角形の柱状節理が重なり合う岩の様子

自然って、たまにやりすぎることがあります。

ハチの巣を見たときは、まだ納得できました。
「まあ、効率とか考えた結果なんだろうな」と。

でも、岩まで六角形になると話が変わってきます。

いや、そこも合わせる?

誰も見てないのに、妙に仕上がりがいい。
むしろ人間のほうが、ここまできれいに揃えられない気がします。

気づけば、雪の結晶も六角形。
ハチの巣も六角形。
そして、あの整いすぎた岩も六角形。

ここまでくると、少し不思議です。

でも実はこの六角形、
偶然でも気まぐれでもなく、ちゃんと理由がある形です。

しかもその理由は、
ハチ・岩・雪――まったく違う世界で共通していました。

どうやら自然は、自由に見えて
意外と“同じ答え”にたどり着くらしいのです。

今回はその答え。
自然がなぜ六角形を選ぶのかを、少しだけのぞいてみます。

目次

六角形は「ちょうどいい形」だった

では、なぜ自然は六角形になるのでしょうか。

この話、意外とシンプルです。

ポイントはひとつ。
「すき間なく、しかもムダなく広がれる形かどうか」です。

たとえば、円。
見た目はきれいですが、並べるとどうしてもすき間ができます。

四角形や三角形なら、すき間なく並べることはできます。
ただ、その中で「一番バランスよく広がれる形」はどれか、と考えると話が変わってきます。

ここで六角形です。

六角形は、すき間なく並べられるだけでなく、
バランスよく広がれる形でもあります。

つまり、少ない材料で、広い面積を確保できる。

形がゆがみにくく、均等に力を分散できるため、
少ない材料で、広い面積を確保できる。

言い換えると、
「コスパがいい形」です。

この特徴は、自然の中ではとても重要です。

ハチの巣の六角形の巣穴が規則的に並ぶ構造のクローズアップ
六角形の巣穴がすき間なく並ぶハチの巣。
少ない材料で広い空間を確保できる、効率のよい構造になっている。

たとえばハチの巣。
できるだけ少ない材料で、多くの蜜を貯めたい。

あるいは、冷えて固まる岩。
無理のない形で、均等にひび割れたい。

そんなとき、結果として選ばれるのが六角形です。

自然が何度も同じ形にたどり着くのは、
それが“たまたま”ではなく、
そうなるのが一番効率的だからなのです。

岩もまた六角形になる理由

では、この“ちょうどいい形”は、岩の世界ではどう現れるのでしょうか。

六角形の石の柱が、びっしりと並ぶ場所があります。
まるで人が並べたような、整いすぎた風景です。

しかし、これも自然が作り出したものです。

ジャイアンツ・コーズウェーの柱状節理に見られる六角形に近い岩の割れ目構造
冷えて縮むことで割れた岩が、無理のない形として六角形に近づいていく柱状節理。
出典:David Singleton(Flickr)/ CC BY 2.0

もともとは、溶けた岩が冷えて固まったもの。
ここで起きているのは、とてもシンプルな現象です。

冷えると、縮む。

その結果、内部に力が生まれ、やがて岩は割れます。

ポイントは、その割れ方です。

ひびは、できるだけ均等に、
無理のない形で広がっていきます。

そして最終的に、
六角形に近い形へと整っていきます。

つまり岩もまた、
特別な力で六角形になったわけではなく、

無理のない割れ方をした結果、あの形になったのです。

雪の結晶と分子のルール

では、この六角形は、もっと小さな世界ではどうなるのでしょうか。

六方向に広がる対称性を持つ雪の結晶のクローズアップ
六方向に広がる雪の結晶。
水分子が決まった角度で結びつくことで、最初から六角形の構造が形づくられる。

雪の結晶をよく見ると、ほとんどが六角形をしています。
形はさまざまでも、基本は変わりません。

これは、水の性質によるものです。

水は凍るとき、分子同士が決まった角度で結びつきます。
その結果、自然と六方向に広がる形になります。

つまり雪の結晶は、
割れてできた形ではなく、
最初から六角形になるようにできているのです。

岩とは逆のようでいて、たどり着く形は同じ。

大きな世界でも、小さな世界でも、
自然は同じ形に落ち着いていきます。

どうやら六角形は、
特別な場所だけに現れるものではなさそうです。

六角形が“無駄が少ない形”だった理由

たとえば、100人に同じ広さの土地を分けるとします。

三角形でも四角形でも、分けること自体はできます。
すき間なく並べることもできます。

でも、ここでひとつ問題が出てきます。

それぞれの土地のまわりに、塀を作るとしたらどうなるでしょうか。

同じ広さを区切るなら、
できるだけ短い長さの塀で囲めたほうが、
材料も手間も少なくてすみます。

つまり、塀が短いほど“コストが安い”ということです。

隙間なく並ぶ六角形のグリッドパターン
六角形はすき間なく並び、しかも効率よく空間を埋められる形。
少ない材料で広い面積をカバーできる理由がここにあります。

ここで重要なのは、
六角形は「並べたときに有利」なだけでなく、
そもそも1区画あたりでも、囲う長さが短くてすむ形だということです。

同じ広さなら、三角形や四角形よりも、
六角形のほうが少ない長さで囲むことができます。

そしてそれを並べると、隣同士で境界を共有することで、
全体としてもさらに無駄が減っていきます。

つまり六角形は、
すき間なく並べられるだけでなく、
区切るための“コスト”まで少なくてすむ形なのです。

自然の中にひそむ六角形たち

ここまで見てきたように、
六角形はハチの巣や岩、雪の結晶に現れます。

でも実はこの形、
もっといろいろな場所にひそんでいます。

六角形に近い模様が並ぶカメの甲羅
六角形に近いひび割れが広がる塩の大地

たとえば、カメの甲羅。
よく見ると、あの模様も六角形に近い形で並んでいます。

あるいは昆虫の複眼。
無数の小さなレンズが集まってできていますが、
その一つひとつも六角形に近い形をしています。

さらに、乾いた大地にできるひび割れも同じです。
水分が抜けて地面が縮むと、無理のない形として六角形に近づいていきます。

こうして見てみると、
六角形は特別な場所にだけ現れる形ではありません。

むしろ自然の中では、
“効率よく詰める”“無理なく広がる”といった条件がそろうと、
何度でも現れてくる形なのです。

気づいていなかっただけで、
私たちのまわりには、思っている以上に
六角形がひそんでいるのかもしれません。

六角形は宇宙にもあった

六角形は、地球の中だけの話ではありません。

もっとスケールを広げてみると、
遠く離れた宇宙にも、同じ形が現れています。

たとえば、土星の北極。

土星の北極に現れた六角形の巨大な嵐(ジェット気流)の様子
土星の北極に現れた六角形のジェット気流。岩でも氷でもなく「風」でできた六角形という不思議な現象。
出典:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute(Public Domain)

そこには、巨大な六角形の模様があります。
しかも岩でも氷でもなく、正体は「風」です。

正直に言うと、
ここまでくると、もう納得できません。

ハチならまだわかります。
岩も、まあギリギリわかる。
雪も、分子の話だと言われれば受け入れましょう。

でも、風まで六角形になるのは、さすがに話がうますぎます。

とはいえ、実際にそうなっている以上、
こちらが納得するかどうかは関係ありません。

どうやら自然は、場所が変わっても、
同じ“答え”を出してしまうようです。

地上でも、地下でも、そして宇宙でも。

条件がそろえば、
六角形に落ち着く。

なんだか悔しいですが、
それが一番うまくいく形らしいのです。

人間も、六角形にたどり着いていた

この六角形、実は自然の中だけの話ではありません。
私たち人間も、気づかないうちに同じ形を選んでいます。

六角形の断面を持つ色鉛筆が並んだ様子(上からの視点)
六角形の鉛筆。転がりにくく、持ちやすいこの形は、人間にとっても“ちょうどいい形”として選ばれています。

たとえば、鉛筆。

多くの鉛筆は、六角形をしています。
丸でも四角でもよさそうなのに、なぜかこの形。

理由はシンプルで、
転がりにくく、しかも持ちやすいからです。

机の上で転げ落ちず、
指にもほどよくフィットする。

つまり六角形は、
ここでも“無駄の少ない形”として選ばれているのです。

自然の中でも、
人間の手の中でも、
同じ形が繰り返し現れる。

どうやら六角形は、
思っている以上に“ちょうどいい形”らしいのです。

まとめ──自然がたどり着く“ひとつの答え”

ハチの巣のように、並べてできる六角形。
岩のように、割れてできる六角形。
雪の結晶のように、最初から組み上がる六角形。

でき方はそれぞれ違っても、
たどり着く形はなぜか同じでした。

六角形は、特別な誰かが選んだ形ではなく、
無駄を減らし、バランスを保とうとした結果、自然と現れてくる形です。

言い換えればそれは、
「こうするしかなかった」という答えなのかもしれません。

自然は、計算しているわけでも、
設計図を持っているわけでもありません。

それでも気づけば、
同じ形に落ち着いていく。

六角形は、その答えのひとつです。

そして私たちもまた、
その“答え”の中で生きているのかもしれません。

六角形の網目をしたサッカーゴールネット越しに見えるサッカーボール
気づけば、ゴールのネットまで六角形。
自然も人間も、同じ“答え”にたどり着いているのかもしれません。
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